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コンシェルジュ コラムバトン

コンシェルジュ コラムバトン
添乗員は子育てコンシェルジュ~イスラエル編~ 
2022.12.13
勿来・田人地区保健福祉センターの子育てコンシェルジュ 今野です。

皆さん、コロナワクチンの接種はお済みですか。
3回目の接種が終わって、4回目をどうしようと考えている方や、お子さんへの接種について悩んでいる方もおられるのではないでしょうか。

1回目のワクチン接種の時には「われ先に!」という状況だったのがウソのようです。その頃は国と国とのワクチン格差が問題になったりしました。そんな中、中東イスラエルがワクチン接種をいち早く取り入れて話題になりましたね。覚えていますか。遠い昔のような気がします。

イスラエルという国をご存知ですか。
日本がまだ1回目接種の見通しも立たない頃、2回目接種を他の国に先駆けて実施し、マスコミでも随分取り上げられましたので、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。
この国、私には思い出深い国で、もう一度訪れてみたい国No.1なのです。

イスラエルは地中海沿岸にあり、日本の四国ほどの面積で人口約900万人、中東で最も生活や教育水準、女性の安全性が高い先進国です。
近代的なビルが建ち並ぶ一方、何千年前・何百年前の遺跡や歴史的建造物の宝庫です。
マイクロソフト、インテルなどの世界的に有名な企業の研究室が軒を連ね「中東のシリコンバレー」とも呼ばれる一方、農業技術は先進的で食糧の自給率が高い農業国でもあります。
どこまで行っても無味乾燥の砂漠という広大さに圧倒されつつも、一方ではオリーブ、なつめやし、アーモンド等々の木々が茂り、花々が一斉に咲き誇る美しさや、有名な死海での海水浴など海外からの観光客が多い国でもあります。

我が家がイスラエルを訪れたのは年末年始休みの時でした。欧米からの観光客はクリスマス休暇でしょうか。観光名所は大混雑していて、ある教会堂では中に入るのに3時間待ち!どこもかしこも長い行列でした。

  ガリラヤ湖近くのレストランでイスラエル人と同席する機会があり、オメル君とご両親の3人、私達家族4人の7名が同じテーブルを囲みました。オメル君は14歳。娘と同じ年です。お母さんがこのようなことをお話しされました。

「不妊に悩み、オメルはやっと生まれた一人息子です。私達はベジタリアンで動物の肉は食べません。なぜなら命ある物を殺すということをしたくないから。それなのにオメルが18歳になったら兵役に出さなければなりません。イスラエルでは戦争がとても身近にあり、兵役に出すということは死と隣り合わせるということなのです。ですから子どもたちを兵役に出した母親が心を病むことも珍しくありません」

やるせなさと怒りを必死で抑えているような彼女の表情は、今でも私の目に焼き付いています。
私達は「あなたの国の平和を心から祈っています」と言うのがやっとでした。

イスラエルでは男性は3年間、女性は2年間の兵役が義務付けられており、しかもそれは訓練にとどまらず、死と隣り合わせになるような状況もあるそうです。 衝撃でした。折しもガザ紛争が勃発した2、3日後のことで多数の死者が出ていました。

同席していた我が家の息子は20歳。イスラエル人なら兵役についている年です。愛しい我が子たちを死と隣り合わせの兵役に出すなんて、想像さえしたくありません。
海外に行くと日本の住みやすさに改めて気づくことがあります。

あれから14年近く、今でも我が家では「オメルくん、どうしているかね・・・」としんみりすることがあります。

オメル君は当時14歳でしたが、ママの両腕に抱っこされていました。

オメル君のお母さんにとって彼の成長は兵役が近づいてくるということ。
オメル君は、大人になって欲しくないと思っているお母さんの心を直感的に汲み取り、無意識に寄り添っていたのかもしれません。

子どもが子どもらしくいられ、その年齢にふさわしい成長をすることができることは、実はとてもすごいことだと思うのです。
イヤイヤ期も抱っこマンも、また思春期の突っ張った態度も、安定した家庭や社会があってこそなのかもしれません。

時々、まだ3歳くらいのお子さんが必死でママの感情を受け止めている、そして小さな心や手でママを支えようと頑張っている、そんな姿を見て胸が締め付けられることがあります。

小さなお子さんに感情面のサポートをさせないために、
もし辛い事や心配なことがあるときには、私達子育てコンシェルジュのことを思い出してください。
そしてお話を聞かせてください。お待ちしています。