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コンシェルジュ コラムバトン

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添乗員は子育てコンシェルジュ~クロアチア編・アンネの日記~ 
2023.03.28
勿来・田人地区保健福祉センターの子育てコンシェルジュ 今野です。

「アンネの日記」という本を読んだことがありますか
第2次世界大戦中、ナチスの迫害を逃れるためオランダの隠れ家で2年にも及ぶ潜伏生活を強いられ、その後ナチスに捕まり、アウシュビッツ収容所で15年の短い生涯を終えたユダヤ系ドイツ人少女の日記です。テレビでおなじみの池上彰さんが「世界を変えた10冊の本」の1位に選んだ本でもあります。

当時高校生だった娘と夏休みにこの隠れ家を訪れようと計画しましたが実現せず、代わりにクロアチアに行くことになりました。

クロアチアは東ヨーロッパ、バルカン半島にあり、アドリア海に面した人口410万人ほどの国です。

昨年のサッカーワールドカップで3位になったことは記憶に新しく、サッカーファンなら馴染みのある国だと思いますが、私がクロアチアに興味を持ったきっかけは、20年以上前、アメリカのドラマ「ER緊急救命室」でした。ジョージ・クルーニーが一躍スターになった大ヒットドラマです。

登場人物にクロアチア出身の医師がいましたが、彼はユーゴスラビアからの独立のための戦闘、クロアチア紛争で妻子を亡くし生きる意味を見失う程の辛い出来事がありながらも、「クロアチアは美しい国だ」と言いました。

もちろんこれはドラマの中でのフィクションですが、同じような悲劇、悲惨な出来事が数えきれない程、実際にあったことは容易に想像できます。1990年代のヨーロッパでこんなことがあるなんて信じられませんでした。言われれば当時ニュースでユーゴスラビアやボスニアヘルツェゴビナで民族紛争が起こっていることを耳にはしましたが、子育てに忙しかった私はスルーしていました。

民族と民族が憎しみあい対立し多くの血を流し、たくさんの悲劇を産み出したけれど、それでも「美しい国」というクロアチアはどんなところなのだろう、一度行ってみたい、と思うようになったのです。

実際に行ってみると、クロアチアは本当に美しい国でした。ローマ時代の遺跡、アドリア海の真珠とも呼ばれる街やヨーロッパ貴族の保養地だったリゾート地、真っ青な空と海、地中海性気候の強い日差しと乾いた風、気さくな人々、日本人の味覚にも合う美味しい料理とワイン。

バスの車窓から見たクロアチア。オレンジ色の屋根と白い壁の家が立ち並ぶ光景はヨーロッパの見慣れた風景ですが、他の国にはないものがあります。それは無数の砲撃の痕。屋根にも壁にも・・・
普通の民家に残る無残な戦争の痕跡。本当に悲しい気持ちになりました。美しい街並みと澄んだ空や海がなおさら哀しみを際立たせているかのようです。
戦争はどんな理由があろうと馬鹿げた行為だと実感させられました。

「私は思うのですが、戦争の責任は、偉い人たちや政治家、資本家だけにあるのではありません。責任は名もない一般の人たちにもあるのです。もともと人間には破壊本能が、殺りくの本能があります。ですから全人類がひとりの例外もなく心を入れかえるまでは、けっして戦争の絶えることはないでしょう」
アンネが14歳の時に書いたものです。
クロアチアを訪れて図らずもアンネの日記に思いを馳せることになった旅でした。

「世界平和のためにできることですか?家に帰って家族を愛してあげてください」
「世界の平和は、まず家庭の平和から始まります」
これらはノーベル平和賞を受賞したマザーテレサの言葉です。愛すべき家族が、今、目の前にいることはとっても幸せなことなのだと気付かされます。

反省と自戒を込めて思うのですが(^^;
家族が互いの長所を引き出し合うことに目を注ぎあうなら、それを見ている子どもたちも自分や他人に対しても優しい気持ちを持つことができるのではないかな。難しい時もあるけれど、そんな家族になれたらいいな。そして、今日も、いや今日こそ世界平和に貢献できるように頑張りたいと思う私なのでした(苦笑)